
今週末は、いつも来てくれるお客さん、デカさんの誕生日パーティでした。
どんなケーキにしようかと考えていたある日、マネージャーがまきばYHの話をしたのでした。
北海道にある釧路まきばYHは、昔、マネージャーがヘルパーとして修行させてもらったユースホステル。
YH経営から、料理から、いろんな事を学ばせてもらったそうです。
「まきばYHでは、年に一回、父さんバースディというイベントがあって、母さんの手作りケーキを食べに全国からお客さんがやってくる」
そのケーキが実においしかったらしい。
何しろ、まきばYHは定員60人という大きなYHなので、ケーキも鉄板で焼いた大きなものだったそうです。
「どんなケーキ?」
「スポンジの中にバナナと生クリーム。それ以外はなし」
まきばYHは、数年前にYHを辞めてしまったので、今となっては、まきばの巨大バナナケーキは、幻のケーキとなってしまいました。
その話を聞いた私は、まきばケーキを再現したくなってしまいました。
作り方は自己流です。
オーブンの鉄板で、ロールケーキ用の生地を2枚焼いて、中味はバナナと生クリーム。
デカさんは男性だけれど、やっぱり当日はひなまつりの3月3日なのだから、かわいい感じにもしたくて、上にはフルーツを載せました。

いつもたくさん食べてくれるデカさん仕様の、でっかケーキが完成〜。
Eさんがとてもかわいいキャンドルを差し入れてくれました。

HAPPY BIRTHDAY の文字がキャンドルになっています。
かわいい!

主役のデカさんです。
お誕生日おめでとうございます!

デカさんに、みんながカメラを向けて撮影大会。
みなさんからのたくさんの差し入れも並んで、豪華なパーティとなったのでした。

その後、マネージャーにもまきばケーキを試食してもらいました。
「まきばの味になってる?」
と、聞いたところ、マネージャーはしばらく考えた後言いました。
「大体、同じだけど・・・ダメだね」
「どこが?」
「フルーツが多すぎる」
「えっ・・・」
「まきばのケーキはバナナしか入れないのが秘訣なんだよ。こんなにイチゴやら桃やら載ってたら、ケーキの味がわからなくなる」
正直言って、まきばのケーキがバナナしか入っていないのは、失礼ながら、バナナは値段が安いからだと私は思っていました。
「イチゴは見栄えはいいけど、バナナの方がおいしいんだよ。というか、スポンジの味を邪魔しないのは、バナナだけなんだ。俺も、どうして他のフルーツを入れないのか聞いたけど、実際に食べてみると、バナナだけの方がおいしかった。母さんの料理の腕は確かだったからね。」
ううむ。
ケーキ界の王道、イチゴに比べて、あまりにも地味なバナナが、実はケーキ全体のバランスを考え尽くされた選択だったとは・・・。
バナナのシンデレラストーリーにショックを受けた私。
「まきばYHでもあったんだよねぇ。ヘルパーさんにケーキを作らせると、無駄に工夫して、いろなんなフルーツを入れちゃうの。そうするとまずくなるんだよ。
シロウトがやりたがるんだよね。そういうこと」
返す言葉の無い私でした。
確かに、バナナはスポンジとクリームと一体になってのどを通っていく感じがあります。
イチゴは、「イチゴとスポンジ」という味でイチゴはあくまでもイチゴ。
ケーキ全体の一体感から言えば、地味なバナナの方が上かもしれません。
けれど、いくらおいしいケーキでも、バナナとクリームとスポンジだけのケーキだったら、ほぼ白一色のケーキになってしまいます。
誕生日とか、お祝いのケーキだったら、もうすこし華やいだ雰囲気が欲しいところなので、今回は、
「まきば母さんへのオマージュ・ブルーベリー流ケーキ」
ということで、勘弁してもらいましょう。
それにしても、まきばの母さんが作ったバナナケーキ、一度食べてみたかったです。